シロアリ被害は雑損控除の対象内!駆除まえに控除についておさらい

シロアリ駆除剤の安全性について

 

 

ずっと憧れていた夢のマイホームをようやく手に入れたという方が、ひそかに心配しているできごとといえば、「シロアリ被害」ではないでしょうか?何年もかけて貯めた頭金や、これから支払っていくローンのことを考えると、知らない間にシロアリにマイホームをボロボロにされていたらショックですよね。

 

 

今回、そんな方にご紹介したい制度があります。それは「雑損控除」という税金に関する制度です。なんと、この「雑損控除制度」を利用するとシロアリ被害にあった固定資産の税金を、控除してもらうことができるのだとか!

 

まさに夢のようなこの制度、「具体的にどんな条件を満たしていればいいの?」と気になりますよね。そこで本コラムでは、「シロアリ被害が雑損控除になるってどういうこと?」「どんな条件を満たせば雑損控除を受けられるのか?」などについてまとめていました。

 

 

「そもそも雑損控除って何?」という疑問をお持ちの方もご安心ください。記事の中では、雑損控除が何なのかについても、簡単にご紹介しています。シロアリ被害におびえている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。

 

 

▼「雑損控除」とは?

さて、まずは「雑損控除」について簡単にご説明しましょう。社会人の方はご存知の方のも多いと思いますが、現在の日本では年に1回、国に自身の所得額を申告しなければなりません。

 

 

そして申告した所得額をもとに所得税を計算し、その金額を納税する義務があるのです。年度末になると、周囲から「確定申告の準備が大変」といった発言を聞くことはありませんか?この「確定申告」こそが、まさに所得額の申告手続きなのです。

 

 

そして「雑損控除」というのは、確定申告で申告した所得から、「体の治療や家屋の修理など、健康的に生きていくためにどうしても必要だった費用」を控除してくれるという制度になります。前述のとおり所得税は所得額をもとに算出されますので、雑損控除によって所得額が減ると、必然的に所得税も減るということです。

 

 

そして本コラムでもっともお伝えしたいのが、「シロアリ駆除」にかかった費用も、この「雑損控除」に含まれるということ。支払う税金が減るというのは、住宅ローンの支払いなどに追われている方にとっては願ってもないことですよね。少しでも税金を減らすために、ぜひ雑損控除制度をマスターし、積極的に活用していただきたいところです。

 

 

▼「雑損控除」の対象内・対象外になる条件

 

さて、「雑損控除」がどういった制度であるのかが分かったところで、次に気になるのが「具体的にどんなものが『体の治療や家屋の修理など、健康的に生きていくためにどうしても必要だった費用』として税金控除の対象になるのか?」ということではないでしょうか。

 

 

この章では、雑損控除の対象内・対象外になる条件について、ご紹介していきたいと思います。

 

 

・【雑損控除の対象内】

雑損控除の対象内となるのは、以下のような被害にかかった費用となります。

 

 

〇自然による災害(地震や雷、台風など)

〇人間による災害(火事や爆発事故、横領・盗難事件など)

〇生物による災害(害虫やその他の生物による損害など)

 

 

ただし、上記にかかる費用ならばすべて雑損控除を受けられる、というわけではありません。雑損控除の対象内となるためには、「申告者(納税する本人)が、損害などが発生した資産の所有者であること」が前提条件となります。(ただし、同じ生計で暮らしている配偶者などの年間総所得が38万円以下の場合は、その配偶者などの所有物であっても控除の申告ができます。)

 

 

また雑損控除は、災害被害に遭ったのが、生活に最低限必要な資産である場合のみ、申告が可能です。いわゆる「衣・食・住」にかかわるものが、これにあたります。

 

 

そして「自宅のシロアリ駆除」は、ここでいう『生物による災害』に該当し、かつ『最低限必要な衣・食・住』でもあるため、『納税者本人の所有する(または生活している)家』であれば、雑損控除の対象とすることができるのです。

 

 

・【雑損控除の対象外】

つい雑損控除の対象内と勘違いしがちな事象の中にも、実は対象外となってしまうものがあります。たとえば以下のような場合です。

 

 

〇損害を受けたのが、事業に使用する資産である場合

〇損害を受けたのが、別荘や骨とう品、高級な貴金属など、日常的に使用するわけではない資産である場合

〇受けた損害が、詐欺や恐喝などによる場合

〇害虫駆除ではなく、害虫の予防対策である場合

 

 

そう、上記の記載でもわかるとおり、「『シロアリ駆除』は控除対象だが、『シロアリ予防』は控除対象ではない」というのがポイントとなります。

 

 

控除対象は「実際に生じた損害によるもの」であることが必要となるため、発生するかどうかが確定的ではないシロアリの予防対策費までは、さすがに控除してくれないようです。

 

 

なお、本記事の後半でもご紹介しますが、雑損控除を申請する際には、駆除に要した費用を証明する領収書などが必要となります。もし、シロアリの駆除と予防対策を同時におこなってしまった場合は、業者にお願いして領収書をわけてもらうようにしましょう。

 

 

▼【事例から学ぶ】実際に計算式から控除金額を知ろう!

それでは、雑損控除がどんなものであるのかがわかってきたところで、実際にどのようにして雑損控除がおこなわれるのかを計算をしてみましょう。ここからは、雑損控除の計算方法についてご紹介いたします。

 

 

・「控除金額」の計算方法

雑損控除の金額を算出するためには、2つの計算方法を使う必要があります。(仮に、XとYとします。)

 

 

<計算方法X>

差引損失額-総所得金額×0.1

 

 

<計算方法Y>

差引損失額に含まれる災害関連支出額-5万円

 

 

そしてこのXとY、両方の計算式で算出した金額を比較して、金額の大きいほうが「控除金額」として確定されます。

 

 

なお、「災害関連支出額」とは、災害などによって住宅などが滅失してしまった場合に、その跡地をキレイにしたり、取り壊したり、原状回復したりする際に要した金額のことです。シロアリ被害による家屋の修繕などは、この「災害関連支出額」にあたります。

 

 

「差引損失額」については、次の項でご説明します。

 

 

・「差引損失額」の計算方法

控除金額の算出に必要な「差引損失額」は、以下の計算式によって導き出すことができます。

 

  <差引損失額>

実際に損害を受けた金額+災害関連支出額-加入保険などにより受け取れる金額

 

 

なお、上記計算式の中の「実際に損害を受けた金額」とは、害虫駆除にかかった金額と、害虫によって壊れた家を修繕した金額を足したものになります。

 

 

・実際に計算してみよう!

では、控除金額の計算方法がわかったところで、ためしに具体的な数字を入れて計算してみましょう

 

 

【例】

以下のような状況があった場合、雑損控除の金額はいくらになるでしょうか?

 

 

〇シロアリ被害に遭ったのは約7坪

〇シロアリ駆除にかかった費用は5万円

〇シロアリ被害箇所の修理費用は20万円

〇住宅所有者(納税者)の総所得は200万円

〇保険などの適用はなかった

 

 

この場合の雑損控除額の計算方法、以下のとおりとなります。

 

 

◎まずは「差引損失額」を算出

駆除費用5万円+修理費用20万円(実際に損害を受けた金額+災害関連支出額)-0円(保険など)

=25万円(差引損失額)

 

 

◎次に、2つの計算式で「雑損控除額」を算出

<計算式X>

25万円(差引損失額)-200万円(総所得金額)×0.1

=5万円

 

 

<計算式Y>

シロアリ駆除費用5万円+修理費用10万円(差引損失額に含まれる災害関連支出額)-5万円

=10万円

 

 

◎計算式XとYを比較

今回は計算式Yから算出された「10万円」のほうが高いので、雑損控除額は「10万円」

 

 

……と、このような形で計算をおこないます。少しはイメージができたでしょうか?

 

 

ただし、実際の控除の際には、住民税率など各種税率によって変動することがあるため、あくまでここで算出した金額は「目安」としてください。実際の控除金額とはズレが生じる場合があります。

 

 

▼「雑損控除」を受ける手順について

 

ここからは、雑損控除を受けたい場合の手順についてご紹介いたします。用意するものがありますので、きちんと準備をしてから手続きをおこないましょう。

 

 

・申請時に用意するもの

雑損控除のタイミングは、「確定申告と同時」になります。そして、かかった費用を証明するための領収書が必要となりますので、確定申告までに用意しておくようにしましょう。

 

 

また、可能であれば領収書だけでなく、駆除の際に業者からもらった見積りなどの書類も準備しておいてください。これは、万が一税務署から雑損控除の内容について詳細を聞かれたときに、すぐに返答できるようにしておくためです。

 

 

・手順

シロアリ駆除に関する雑損控除は、確定申告の時期に、確定申告書にその旨を記載することによって受けることができます。なおその際、シロアリ駆除や家屋の修理にかかった費用を証明する領収書などを添付しましょう。

 

 

なお、どこかの会社に所属しているなど、お給料をもらっている場合は、源泉徴収票も必要となります。確定申告の時期になってもまだ源泉徴収票をもらえていない場合は、会社に出してもらえるようお願いしましょう。

 

 

▼まとめ

さて今回は、「シロアリ被害が雑損控除になるってどういうこと?」「どんな条件を満たせば雑損控除を受けられるのか?」などについてご紹介しました。「シロアリ駆除を申告するだけで、節税ができたなんて!」と驚いた方も多いのではないでしょうか?

 

 

「税金に関することは、ややこしくて嫌い」という方も多いでしょう。しかし、知っているのと知らないのとでは、支払う金額が大きく変わっていきます。日常のこまごました節約を心がけるのも大切ですが、税金に一度向き合ってみることも、お金を貯めるコツかもしれませんよ。

 

 

もし今後、大切なマイホームがシロアリ被害に遭ってしまったら、ぜひこの「雑損控除制度」を活用して、お得にシロアリ駆除をしてくださいね。

 

 
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